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ふだんは目で見たものを色や形で表現しているアートラボの中高生が、この授業では「言葉で描写する」という体験をしました。テーマは前週まで模写をしていたダ・ヴィンチの『モナ・リザ』。
文章で表すのは難しそうですが、自分が感じたことを書く感想文とはちがい、ここではあくまでも描かれているもの、事実だけをできるだけ正確に人に伝わるように書き出しました。
モナ・リザに改めて向き合い、言葉に置き換えていくと…絵で描くのとはまたちがう、様々な発見や疑問が湧いてきました。
この授業を実施してくれたのは、美術評論家の岡本零さん。時代とともに、アートの役割やそれに触れる人々の見方が大きく変わってきたことを伝えてくれました。
紙を折りたたみ「角をつなげてできた線は何だと思う?」
世界の人口ははじめはなだらかに、そして十九世紀あたりから急激に増えていき、それと同時に産業や文化も急激に変化していきました。十五世紀頃までの美術は「神様のためのもの」で、教会の壁や天井に描かれた絵は建物の中でだけ体験できるものでした。時代の変化とともに王様や貴族のために絵が描かれるようになり、さらにキャンバスや活版印刷が発明されたことにより、本や絵が世界の中を動き始めます。さらに十九世紀頃に産業革命や市民革命が起こると、お金持ちのためのものだった美術が、だんだん市民のものに。それまでのアートはある限られた人たちだけが触れられるものだったのですね。今のように誰でも美術館に入れるようになったのもここ数十年のこと。後に続く芸術運動や、映像の発明も…昔の人はどのように美術に触れて、どう世界を捉えていたのか?美術の中に自分たちとは全然ちがう見方や捉え方のヒントがあることを体験しました。
授業の終わりには、中高生に零先生がおすすめする本のリストを配布。わからないけどおもしろいって、こういうことかもしれません。