7月L-Program No.10 ヴィーナス①


今から約500年も昔、「ルネサンス」と呼ばれる美術史上驚くほど大きな変化があった時代。当時はいろいろなものを「手作り」していました。この月はテンペラ絵の具を使って、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を描きました。実物と同じ172.5 cm × 278.5 cmという大きな画面の制作に挑戦です。

For art labo’s work in December, they tried to make a giant Bento box. The box size is 10 times normal size, dishes to go with the rice is also 10 times as big. A lot of pieces of rice are handmade, too. At first, they shared images of Bento with classmates.

 
 
今月は、ルネサンス時代の絵画をモチーフに、なんとラボ全員で1枚の絵を完成させる予定。3週間じっくりかけ、かつてない大作に取り組みます!

制作にあたって、まずは美術史上の「ルネサンス」について理解しておくことから。

ルネサンス前は、いわゆるキリスト教美術、教会に飾るための絵画制作が中心だったため、絵は簡略化され、描かれたものはキリストや聖母マリア、聖書の物語の場面など、決まったテーマがほとんどです。陰影やものの形にリアリティはなく、「誰が書かれているか、どんな場面か」が分かれば、絵としての機能が果たされていたとも言えます。

その後、イタリアの外の国から、ギリシャ時代の文化が伝わってくると、それに感化されたイタリアの芸術家たちが、もっとリアリティを追求したい、人を自然に描きたいという欲求から制作をはじめました。それがルネサンスと呼ばれる運動です。平面的だった絵画には遠近法などの発明により、自然に奥行きが表現され、人物の表情や仕草もリアルに表現されるようになりました。ミケランジェロ、ダヴィンチ、ラファエロという3大巨匠と呼ばれる芸術家たちも、このルネサンス時代に活躍しました。

聖書の内容を表現した作品もありますが、古代ギリシャ神話を元にした作品も多く作られています。そのギリシャ神話の絵画で有名なのが、ボッティチェリ。

1200px-Sandro_Botticelli_-_La_nascita_di_Venere_-_Google_Art_Project_-_edited

ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」も、神話を元にした絵画です。
画面右には時の神様、左側には風の神様の夫婦、そして真ん中にヴィーナス。
今ではそんなに驚くような効果もないように見えますが…写真もないこの当時、ビーナスの髪や散りばめられた花で感じられる風の表現や、人物の動きのあるポーズは、当時の人々をとても驚かせたのではないかと想像できます。ビーナスの身体がかなりアンバランスなのですが、全体で見た時に調和が取れるようにわざとそうした、という説もあるくらい、絵画の完成度がとても高い作品です。500年以上前の作品ですが、未だに色も当時のままに近く美しいという噂。本物を見てみたい…。

今回は、この作品をテーマに制作します!キャンパスのサイズは、172×278cm。もちろん本物サイズで挑戦です。とはいっても、全員で一度に描くわけにはいきません。分担して、作業を手際よく進めていきます。

201407L_10_works05

ボッティチェリも、絵画工房をもっていたといわれています。チームで分担して絵画を制作することで、大きい作品を効率よく制作していたと考えられます。

まずは第一段階。
キャンバスに下地を塗るチーム。

201407L_10_works16

表面がツルツルになるように下地を塗る事で、色のノリが大きく変わります。
続いて、トレース用の絵の原寸コピーを延々つなぎあわせるチーム。

201407L_10_works08

トレースするためのカーボン紙をつなげるチーム。

201407L_10_works07

作業の流れを作り、仕事をこなすラボ。
グループワークも少しずつ慣れてきた様子です。

モノクロですがサイズ感はこんな感じ!おお〜。

201407L_10_works10

他にも、「ヴィーナスの誕生」に使われている色自体をテスト制作する作業もありました。
色彩の多さに圧倒されながらも、5色の絵の具から次々と多彩な色を作り出すラボ。

201407L_10_works13

201407L_10_works19

同時進行で、「ヴィーナスの誕生」をトレース!とにかく忙しい。

201407L_10_works14

カーボン紙を外した瞬間、思わず「お〜」との声が。

201407l_10_works

でも制作はまだまだこれから!次週、やっと着彩作業がスタートできそう。お楽しみに。