鉄たたけます。

私たちが普段触れる鉄は、堅くて、強くて、冷たい鉄。でも「鉄は熱いうちにたたけ」というように、 火に入れて真っ赤になった鉄をたたくと、びっくりするほど柔らかく、ぐにゃぐにゃと曲がり、つぶれ、ねじれていく。北海道の南、樽前に鉄の工房を構える藤沢レオさんと一緒に、2015年1月12日(月祝)まほうの絵ふでで鉄の加工に挑戦しました。

工芸、彫刻、環境造形、現代美術…ジャンルを横断しながら様々な作品を発表している藤沢レオさん。「鉄」のイメージとは真逆で、お会いしてみるととても優しくて柔らかいお人柄。

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まずは鉄の歴史を聞いてみると…「紀元前18世紀くらいから製鉄が行われていた」「はじめは王様・貴族たちの装飾品などに使われた」「人類が最初に使ったのは、なんと 隕石に含まれる鉄だった」つまり宇宙から飛んできた、地球外鉄!隕石がぽこぽこ落ちてて、「きれいだなあ」なんてところを想像するだけでおもしろい。過酷そうな製鉄のイメージとは真逆のお話に、みんなどんどんひき込まれていきます。

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工房の写真も見せてもらいました。道具のひとつひとつが美しい!製造されていないものも多く、人から譲り受けたり、特注で作ってもらうものもあるそうです。

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さらに鉄を叩くのはとてもプリミティブな行為だというレオさん。例えばね…と見せてくれたのはなんと映画『21世紀宇宙の旅』のワンシーン。

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うなり声をあげて、骨を片手にたたきまくっている!意外な映像に教室内にどっと笑いが。「みんな、これがお手本です!」この時代から人類にはたたくという技術がDNAで受け継がれているらしい…鉄を目の前にしたら、本能のままに!金槌を振り下ろせ!

…と言っても熱した鉄はもちろん危険ですからね。素手で触らない、とっさの動きに気をつける、服装などなどいくつか注意事項を伝えた上で鉄たたきのスタートです。

今回まほうの絵ふでの教室にどうやって鉄たたきの設備を置こうか?実は一番心配だったのがこれなんです。まずは場所についてですが、コークスという燃料を使うのは屋内ではまず無理なこと。屋外で活動できる場所を考えたら…ビルの駐車場!?広さはそれほどいらないとのことでしたので、思い切って車をよけて、鉄たたきセットを置いてもらうことにしました。う〜ん、今までもえふででいろいろな活動をしてきましたが、前代未聞だなこの景色。

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もうひとつの心配だったのは、北海道の1月の天候。何が起こるかわからないと当日まで気を張っていましたが、それほど雪が荒れ狂うことなく、この日は終日、札幌の雪ん子たちなら問題なく活動できるくらいの雪模様。それに多少寒くても、コークスがある!たき火より暖かい。

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今回たたく鉄は、円筒の棒状になったもの。最終的にアクセサリーに仕上げるため、事前に端に穴を開けてくれました。

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これをコークスの火の中でしばらく熱すると…

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黒い鉄が真っ赤に!さあ、今のうち!

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イメージは『21世紀宇宙の旅』。「うが〜!」力一杯振り下ろせ!

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小さい子もがんばって!
今回はお父さんたちの参加も多く、さすがのパパたち。うまい!

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ある程度つぶれたら、今度は鉄をぐんにゃり曲げてみよう。何度も鉄を暖め直しながら、どのくらいつぶすのか、ねじるのか、お好みで。

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熱い瞬間はものすごく柔らかいので、まるで鉄とは思えないこの感触。少しの力で形が変わる反面、冷めはじめるととたんにコントロールがききにくくなる。独特です。

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冷やすのは雪の中で。よく冷やしてから教室の中へ持っていきます。

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一方、えふでの教室内も熱気ムンムンです。たたいた鉄をアクセサリーにするため、いろいろな素材で工作をしていました。

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やわらかい質感で鉄との対比を楽しむ羊毛や布。軽くて暖かみのある木材。同じ金属の仲間である銅板や、ポップで近代的な印象になるアクリル板などなど。素材の特徴を考えながら、各々で好きな形に加工していきます。

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アクリル板や木材の加工はなかなか手がかかりますが、みなさん果敢に挑戦していました。

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工作上手なお父さんたちも多くて頼もしい!こうして親子で一緒にものを作る機会があるのは何だかすごく良いものですね。

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そうそう、忘れちゃいけないのが、鉄の仕上げ。再度熱し、中の水分を飛ばしたら酸化防止のためのロウを塗ります。ここでもまた熱くなるから気をつけて!

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完成した作品はお持ち帰りです。初めての鉄の加工体験、おつかれさまでした!

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そうそう、今回は希望者が多く参加できなかった方たちがたくさんいました。レオさん、まほうの絵ふでにまた来てね!ありがとうございました。

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