2007年2月 本物から学ぶもの

 音楽を教えようとすると想像してみてください。
 普通は「あかとんぼ歌え」「リコーダー間違わないで吹け」「譜面読め」ってなりますよね。しまいには「大きな声で歌え」でしょ?それじゃ、普通に考えて、子どもに音楽の良さってわからないし 「音楽苦手人口」を増加させるだけという可能性もあります。もしすごい作曲家が学校の音楽の授業やったとしたら どうなるんでしょ?って思ったんです。
 きっと教科書とか全然関係なく、もっと違った方向からアプローチするんじゃないかと。そしてたぶん、音楽の素晴らしさと、一般の人が気づかなくても、 プロが大切にすること、あたりまえに気遣うことをほんの少し垣間見せてくれそう、そんな気がします。なにより、そこにはあこがれや、尊敬が必ず生まれるはずです。
 絵の場合はどうなんでしょう。絵だって「よく見ろ」「はみ出さないで塗れ」「名作見ろ」ってなるでしょう?しまいには「子どもらしくないからだめだ」 そんなことしていても、プロのチャレンジのすばらしさなんて少しも分かるわけがないし、理解というより、困惑や、何でもありといった無秩序なことばかりが印象に残るような気がしてならないんです。
 そういえばこんな話を聞いたことがあるんですが、札幌市立高専の初任の音楽の先生はちょっと変わった人だったそうです。で、教科書なんてなかったので、みんな「高専の音楽の授業なんて何すんだろ?」という疑問を抱きながら最初の授業を受けたんだそうです。薄暗いシアターに、ただみんなバラバラと座って、その先生がきたら、頭ぼさぼさで、早口で、何言ってるかよくわからない。でも不思議と「何となくおもしろい」って感じがしたんだそうです。全然 押しつけたりもせず、ロックもジャズも民族音楽もクラシックも関係なく、毎回の授業は武満徹聴いたり、サティ聴いたり、バレエのビデオ見たり。それに対 して、きちんと音楽の歴史を含めて意見を話し、実際に音楽をつくらせたり。楽器弾けない人のためにもMacの打ち込みだったそうです。自分で弾いた方が 早い、なんて思った人もいたようですが、実際にやってみたら、自分で弾いてちゃ出ない音とかができてびっくりしたんですって。「へえ~、こんなモンなの か」って。週にたったの1時間だったけれど、今だにその授業のことを思だすのだそうです。さらに聞くところによると「たまにピアノ弾いたらむっっっちゃ上手いし。ひええ~ってくらい。後から聞いたら、ずいぶん有名な人だったみたいで、普通はあんまり音楽教えたりしてない人だったようです」
 さてまほうの絵ふでは今回デザイナーの植原さんにご登場願いました。スポーツで言えば「全日本選手権」とか「世界選手権」とかのレベルのすごい人で す。絵ふでも植原さんも、別に珍しいことをやるべきだ、ということじゃなくて、学校とは明らかに違うんだから、絵ふでらしいやり方でみなさんに「ものを つくること」を考えてもらうべきなんじゃないか、とね。ただそれだけです。

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