2006年11月 良い教育/良い環境とは

秋たけなわです。気の早いところでは人工雪でゲレンデ作りをはじめたとか。山ではそろそろスキーのシーズンもやってきますね。冬のニセコとか富良野と か、リフトの上から見ていると、ヘルメットかぶった小さな子が、八の字ボーゲンのまま上から下まで直滑降で行くのを見て、「ああ、こういう子がオリン ピックとか行くのかな」なんて考えます。最低限のルールを教えられ、考え得る一番の用具、安全な装備を与えてもらい、「素晴らしいバーンだ」そんなふう に世界中の人がいう斜面にチャレンジする。周りには(地元ですから)その子のことをよく知ったスキーの上手な大人がいて、どこそこのお兄ちゃんはオリンピックに出たとか、なんとかさんの下の子はこの前全日本の強化選手になったとか、具体的な目標がある。まず習うより、スピードと遠心力・三次元の重力に とびこむ勇気とバランス力を身に付ける。
 そんなところから本物の才能が選び出されるのでしょう。大切なのはまず、そのものの持つ魅力自体が学習をすすめ てくれること、上手くなること上達することに、具体的なイメージを持つことができるのも大きな意味を持ちます。
 さて、美術の場合はどんな学びの環境があり得るのでしょう。明るくて清潔、整頓された環境。暑すぎず寒すぎない集中を妨げない空間。子どもの今できる ことと興味に合致した適切な課題の問いかけ。アドバイスしすぎることはないが、柔らかく見守る指導者。目はとどくが、適度にほっとかれることも大切です ね。そうでないと自分で答を出すチャンスが失われてしまいます。つまりスキーでいえば能力の要求にこたえる素晴らしいゲレンデと適切な装備、最低限の安 全と良い場を提供する。つまり集中することのできる環境と時間。教育の原点はそこにあります。そしてもうひとつ、高い目標・こころざしをもつこと(遠い視点)と、そのときチャレンジすること(近い視点)が子どもの能力に対して適切なことです。どれもありそうでなかなかないことです。夢だけを語って子どものできないことをやらせる指導者。できあがっためちゃくちゃの作品を、子どもはすばらし いとほめちぎる。制作場所は用具やゴミで雑然としていて、制作のあいだ中おしゃべりで騒然としている。そんなケースをいくつも見てきて、絶望的な気持ち になることもままあります。しかし絵ふではそういうのイヤなんです!絵ふではニセコになるんです!

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