三匹のこぶたキャンプ 2010

運命のこぶたキャンプ…今年も無事、全員帰還!
2010年8月2日(月)〜3日(日)の一泊二日、白老まで足を伸ばしてテント作りにチャレンジ。すごいぞこぶたキャンプ!時には感心し、時には叱り、いろいろあった二日間をレポートするぞな。

★前日のこぶたミーティングの様子はこちら

不安と期待が胸いっぱい…のこぶたキャンプ当日。もちろん遅刻者ゼロ!朝から浮かれぽんちきな子どもたちに話したのは…おっそろしい山の事故に関するニュース。「どんなに避けようと思っても、避けられないから起きるのが事故」肝に銘じて出発ぞな。

資材を配布し、それぞれバスに荷物の積み込み。恒例のエゴグラム(性格診断)とともに、今年は食材リストをバス内で配布!夕食と翌朝分の食材ぞな。カレールーとか手軽な化学調味料など一切なし。

テントの作り方や食事の内容について、やんややんやと打合せをしてる間にバスはキャンプ場に到着。ここからさっそくテント作り!


…かと思いきや、その前に子どもたちが想像もしない大きな試練が待ち受けていたのだ!

キャンプ場のいちばんはずれ、テントを立てる場所まで荷物の搬入。はっきり言って誰もキャンプなんかしないであろうという奥の奥を、えふでは毎回選ぶのだ。

テント資材や荷物の運搬つーても普通じゃない。特に今年の資材は角材やベニヤなど重い上に持ちにくいものが多い。

はじめは勢いがあった子どもたちもだんだん無口に。

慣れない坂道を越え

切り株やら木の根をよけながらものを運ぶのは予想以上にしんどい。

歩けど歩けど…まだ着かん。「大丈夫かー」

ふうー。やっとこさ目的地に到着。

が、すかさず「次持ってこい!」「えええっ?!」容赦ないのだ。これを4〜5回繰り返し、さすがのリーダー・サブリーダーたちもヘバり気味。「むり」「もうダメ!」ちんまい子どもたちはすっかり音を上げておったが、こりゃ体力の限界というよりはどちらかというと精神力の限界だな。

しかし例えば長い距離でも荷物を運ぶ途上国の子どもたちなんかみると、日本の子どもたちと身体のつくりが大きく違うとは思えんのだ。生まれた時はたいして変わらんであろ。要はこういう肉体的なストレスに慣れてないってこと!普段の生活の中でやらなくて済むのが幸せなのか、はたまた経験を重ねて心身を鍛え、できるようになるのが幸せなのか…いずれにせよ、人間の体で使わない機能はどんどん衰えていくぞ。そしてえふでで美術やデザインを学ぶからには、リアルにつらい時こそその苦痛を軽減する解決策を考えられるようになるってのが理想ぞな。

そんなこんなで時間を大幅にオーバーしつつ、やっとこさ搬入作業が終了。水分補給をして、ようやくここがスタートラインぞな。チームごとにテントを立てる場所を決めたら、一気に制作開始!

案の定、テントづくりが始まるととたんに元気を取り戻した子どもたち。そんな中、いきなり木材を組み立て始めたのは男子ばかりの松チームと竹チーム。


一方、部材やシートのカットなど、下ごしらえ的な作業から着手したのは女子チーム。

テント制作で意外と面倒なしごとのひとつがシートのカット。10m×10mもあると何せ重い。自由もきかないのだ。まずは広い場所に運んで全体を広げるところから。

この梅チームの逆リーダーはちんまい割になかなか賢いぞ。ポイント高し!

端っこに陣地を決めたチーム・桃。ここはプラン立てるのも時間がかかったが…4人中3人が昨年のキャンプの経験者。ていねいな仕事をみせる。


黒板か?まるで額縁のような…9:16? テレビかと思ったよ。

この通り、今年のこぶたキャンプは木材とともに釘・ネジ類を取り入れたために制作の自由度は格段に高い。しかしそこが仇になることもあるのだ。例えば…

このチームは門型に組もうとした支柱がなかなか安定せず相当手こずっておった。ネジで留めようがテープで巻こうが、自立させるのは大変なのだ。しかも1m80cmの角材は、上から打ち込むなんてちんまい子どもたちには無理難題!前日のプランの上では自重のことなんか全くの想定外…暑さもありイライラが募る。

こっちは器用に切って尖らせたが、いくら何でも…ペグにしてはちんますぎね?

ロープが抜けないようにと考えたのか、地面に刺した後フタをかぶせるようにして釘をコンコン。なかなか手が込んでるが

なんぼも刺さっとらん…強度のことはおかまい無し。足引っ掛けたら一発で倒れるぞ。

一方こちらのチームでは角材を組み合わせて、かなり丈夫な支柱を制作。「ふんぬーっ」お、重い…

4本の支柱を立てて、頂点に釘を打ちたいらしいのだが、メンバーはきっちり4人。「だ、だれも手が離せない!」おいおい。

模型作りの段階で気づかぬのはこういう初歩的なこと。

制作開始から約1時間半。
「ピーーーッピッ!」リーダー集合の合図ぞな。

「どだやー?」各チームの進行確認。「順調です」「大丈夫です」「間に合うと…思います」それぞれ強気だが、はっきり言ってこの時点で時間的にヤバそうなチームがいくつか。

しかしどのリーダーもイエローカードなんぞ出したくない。内心不安を抱きつつも、特に小学生リーダーたちはプレッシャーに負けじと必死ぞな。…うーん。もう少し様子見るとするか。

と思ってたところ、「校長をギャフンと言わせたい」というリーダー率いる竹チームの動きに異変が!それまではぐにゃぐにゃの四角い支柱と格闘しとったのが…あれ?いつの間にか三角になっとる!

どうやら予定通りに事が進まず、あれこれやった挙げ句バッサリと見切りをつけたらしい。模型まで作って練りに練ったプランだが…ここで作戦変更したのはナイスな判断ぞな。残り時間もギリギリの中、テント制作の責任者・サブリーダーも俄然力を発揮しはじめる。

もともと工作能力はそれなりにある竹チーム。ここから見事なチームワークを発揮し、猛烈なアタックをみせはじめた!一旦組んだ部材を外して組み替え、一気にテントらしき姿に!

なんだかんだありつつもほぼプラン通り順調に作業をすすめていたのは松チーム。

実直にしごとを進める松のメンバー。ちょっとムリヤリなちからワザも目につくが…ロープが結ぶ技術がないから、テンションでバランスがとれないだな。

しかしリーダー・サブリーダーを中心にどうにかテントらしい形にしていく。何てったって声もでかいし、動きも機敏。ここは思いっきり体育会系ぞな。

重い支柱を支えることに苦戦した末、縄で結ぶ作戦に変更した梅チームは…

「早く!シートを!」

バサッ ゴソゴソッ

キュッと締めて巾着風?
何かに似てると思ったら…これインディアンテントじゃん!ぎざぎざの模様描けば完璧ぞな。

支柱を立てるのはどこのチームも苦戦しとったぞ。この栗チームの場合は…

「えい」ぐりぐり ねじこみ

「えい」ガッツンガッツン たたきこみ

そうしてできた骨組みを見たらこんなん。
「ち、ちっちゃくね?!」
「いいの!」「へいき!」

午後4時すぎ
なんやかんやで各チームのテントが続々とできはじめたぞな。

そろそろ食事の準備を…と思っていたところ、隅っこの方に気になるチームが。

も、桃組、どうした?!
さっきから全然作業が進んどらんぞ。

…と思ってたところにご覧のとおり。
悔しそうなリーダーからイエローカードの提示でございます。今年初。

話を聞いてみると「何度やっても支柱が立たない」「倒れる」そりゃそーだ。だいたいバランスとれてないも!すごく下の方でアンバランスにひっぱってるだけだから立つはずがない。てこの原理って知らんのか?

しょがないから真ん中の支柱はナシ!ロープを使ってびんびんにテンションかけろ!なるべく上からな。で、この5cmの木片はペグなのか?「これじゃ積み木じゃん」長い杭をがんがん打たせる。だいたい地面に固定されてるものが何もないぞな。ようやくプラズマテレビが自立したとこで「イエローカード1枚ではここまで」とにかく急げ!あとのシートのかけ方なんかは…自分たちでどうにかしろ。そろそろ日が暮れるぞ!

遅れをとる桃組は作業続行。
他のチームは夕飯準備でございます。
それぞれ相談済みだったのか、準備は早い!

「腹へった!」「とにかく焼け!」「マヨネーズかけたら生でもうまい」「キャベツばっかり」「俺たちウサギか?」おいおい

しかし銀シャリもうまく炊けとる!リゾット、チャーハン、おじや…などなど、これはお見事!去年と比べると格段の進歩。

先生たちの食事は今年も坂上シェフが。
毎度うまい!

食事をしている間に恐怖の日暮れがやってきたぞな。

夜の森で予告なしに突然開催された『チーム対抗・木材早切り対決!』15本の角材を早く切り終えたチームが勝ちぞな!な、何かあるにちがいない…戸惑う隙もなく、スタートの合図とともにものすごい轟音が「ゴゴゴゴゴッ」ややや…のこぎりの音!みんな真剣ぞな…つーか目つきがやばい!

「終わりました!」悲鳴のような声があがったのは松チーム。1位の結果に飛び上がってガッツポーズ。次に早かったのは、予想に反してぬぁんとあの桃組が!テントづくりの鬱憤をはらすべく奮闘。のこぎりを引くリーダーの様子を、坂上シェフいわく「信じられないスピードで目が離せなかった。まるで人間ワザとは思えない。」す、すげ。

さらに切った木材を燃やして大迫力のキャンプファイヤー。近くでは見てられないほどの炎が!

空高く上がる火柱を背に、坂上シェフから「恐怖の怪談!」ひぃーっ

すかさず「のこぎりランキング!」4位の竹組は特大マシュマロをげっと。「枝拾ってこい!」小枝に刺し、直火で焼いて食べるとすこぶるうまい。3位の栗チームには「焼き芋を進呈!」じっくり焼いて丸ごとパクリ。2位の桃組にはなんと「地元の名産、白老牛でございます!」大歓声。かたまりを串に刺し、贅沢にどうぞ。

そして期待を膨らませる1位の松チームには「とっておきの…スイカを進呈いたします!」歓声が上がる中「それは…あちらの森の奥に用意してございます」え?どういうこと?! ふふふ、フェイントぞな。

オレたち1位だよ?「うそだ!」「いやだ!」「行きたくない!」どこからともなく「イエローカードを出そう!」引率の先生をひとり増やしてもらい、夜の森へ出発。信じられないほど奥の奥まで歩き…やっとこさ大きなスイカをゲット。指示通り赤い札を木にかけ…任務完了。おばけはもちろん、あらゆる獣がリアルに怖い北海道。

最下位だった梅チームには、最もつらい「百マス計算でございます。」テントに戻り、他のチームがすっかり就寝準備をした後も、狭いテントでひたすら計算…

梅組、学力高めでよかったぞな。

で、全チームが寝静まりかけた夜22時すぎ…「変な音がするよ」

気になってテントから出てきたのは竹チームの面々。口笛みたいな音が、遠のいたり近付いたり…「誰だよ」「あっちの方から聞こえる」「なんかおかしくね?」恐怖心でいっぱいだが、このままでは眠れん。チーム全員で、キャンプ場の向こう側まで行ってみることに。

あちこち探検してみたが、結局謎は解けず。「オレたちを呼んでるみたい…」「こわい」「気持ち悪い」気がかりなまま、テントで丸まって眠るしかない。謎の音に震えつつ、夜は更けたのでした。

朝方はずいぶん冷えたが、夜が明けてもテントの中ではスヤスヤ。よほど疲れがたまってたんであろ。

難民キャンプ…ならぬ三匹のこぶたキャンプ。子どもたちが知恵と技術を集結させて作った白いテントは、普通のキャンパーにしてみると異様なものに映ったでしょう。しかし中の子どもたちにとってはまさに「自分たちの城」。穴が空こうが、草が出ようが、たくましく一夜を明かしたのでした。

* * * * *

2回目となった三匹のこぶたキャンプ。校長の総括としては、まず…今年も事故が無くてよかった!のこぎりや金づちはもちろん、重くはないが木材だって倒れて来たらけっこう危険。天候にも恵まれ、イエローカード二枚で乗り切った。これはメンバーの行動をしっかり把握していたリーダー・サブリーダーのがんばりぞな。ぃよくやった!
こぶたキャンプの目的は、普段の常識から抜け出して本質を見ることができるか…その意味ではやはりまだまだストレスに弱い点が気にかかる。肉体的な限界の前に精神的な限界が来るとはよく言われることだが、自分で作った基準を越えられない。もう無理…って思うとからだが動かなくなる子がけっこう多かったぞな。たとえば杭打ちひとつみても、力一杯っていうのが経験の中にない。みんな自分の考えたことの中で生きているのだ。逆に言うと、イメージできる範囲しか人は成長しない。原動力は何だっていいのだ。怒りだろうが、悔しさだろうが、憧れだろうが…まずは精神力で自分の体をひっぱることができるかどうか。ワシはその辺がカギだと思うぞ!良質なストレスは、子どもを育てるのだ。

子どもゆめ基金(独立行政法人 国立青少年教育振興機構)助成活動