4月L-Program No.1 右脳でぬろっか


この授業では、六角形のカードを使って、三次元の表現や、見え方の違いを検証していきました。

This class used hexagon-shaped cards to show 3-dimensional illusions, and tested their ability to look at things different ways.

 
 
新年度。さて今年もラボ新入生といえる中1の子どもたちが緊張の面持ちで教室にやってきました。今年もラボの制作は脳みそフル回転!

スタートの課題は「自分の好きな絵を描け。」いつものえふでではあり得ない課題に、挙動不審になる子どもたち。思わず「何を描けばいいのか?」という声もあったが、とにかく質問はナシ、いいから描けったら描け!

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ぐっと固まる子、迷ったあげくなにやらキャラクターを描き出す子、意味不明な模様を描く子…そしてワシがそれを採点。ってなわけないだろ!実はこういう「自由画」系のもの、最近の美術系大学の入学試験でも出される課題でもありますが、ワシはこういうのが大っ嫌いなのです。その代わりに子どもたちに問いかけたのは、「トレーニングの意味って何だ?」絵を描く目的ってなかなかつかみにくい。単に好きだからという話なら、それぞれ勝手なところで好きに描いてればええのだ。能力を高めるためにえふでで絵を描くならば、その目的と課題の意味をはじめにしっかり考えておくべし。

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2枚目からは、いつもの授業のように空間認識や、図形の認知にかかわる課題を連打。先に描いた自由画では「好きな物?」と意味を考えてしまっただろうから、どちらかというと左脳寄りの制作といえる。次はぐっと右脳を働かせるため、おなじみ「ルビンの壺」や自分の手をモチーフにしたドローイングを。線を単なる「平面上の線の動き」として正確に捉えていくこと。さらに手の描写ではじょうずに描こうとか、似てるかどうかという検証すら省き、ひたすら見た通りに描き進める。視覚脳に振り切るのだ。

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右脳と左脳とどっちがだいじなの?という質問に答えるとすれば、「行ったり来たりがスムーズできるのが大事。」芸術の世界ではやたらと右脳の発達が云々、と取りあげられがちだが、現実では論理的に考える知性も相当必要だぞ。

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絵画は平面だから、常に人は絵をどのように認識するか?というある種の約束事が関わっている。そのわかりやすい例が、六角形のカードゲーム・Roccaなのだ。この週の3つ目の課題となる立方体の制作では、六角形と立方体をテーマに、認識、技術、検証。この繰り返しを試みました。

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実は今週キッズの授業でも六角形の立方体について取り組んだのだが、相手が幼稚園児でも中高生でも、芯の部分は同じことを言うのがえふで流。しかしある程度技術のあるラボの生徒には、そこから先の応用をさらに求める。同じように外形が六角形であっても、それを立体として考えた先に、どう違った展開ができるか?立体をイメージをしながら、明暗の技術を使ってデコボコをつくってみる。

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ちなみにワシがこっそり掲げる今年のラボのテーマは「Fact and Truth」なのであります。見ている事実すら疑い、視ているものの真実を探すことが絵画なのである。こどもが「なんかやれそーな気がする」という根拠のない自信を持つことはすごく大事なことである。反面、制作面では常に自分自身の認識をまず疑う必要がある。矛盾して聞こえるかもしれないけど、えふでっ子は良い子であると同時に、常識を疑い、報道を疑い、教科書を疑え。身の回りにあるいろんなことを自分で考える癖をつけよ。校長の言ったことも正しいとは限らんぞ!もちろんワシのことも疑うべし。つーかえふで校長ほど理不尽な大人は身の回りにそういないであろ?そうやって自分の進むべき道を探すのだ。