こないだ全く違う業界の人に
素朴な疑問をまっすぐにぶつけられました。
「絵を習いに行ってる時点でマズいんじゃないですか?」
そうそう、そうなの!
言うこときかないようなヤツじゃないと美術には向いてません。
キッパリ。
いい質問だったので、今日は特別にその辺のことを書こうかな。
教育ってのは、一言でいうと「価値観の押しつけ」なんだ。
みんなその辺を勘違いしてるけどさ。
特に美術は、誉めて伸ばせとか言うよね。
ワシは容赦なく叱るよ。ワシが言った通りにやらせるよ。
もちろん言うこときかないヤツにも、言うこときくまでやり合うよ。
相手が幼稚園児でもね。
だけど、その前提として
おもしろい年長者でありたいとは思っている。
自分が大人かどうかは別にしてね。
「この人の話は聞いてみたい」とか
「この人の言ってることを理解してみたい」とか
「信じてみよう」とか思われないんだったら、
そもそも自分が制作してる意味がないんじゃないかな。
他人の価値観を否定する必要はないけど、
ワシの好みははっきりあるし、
制作経験でいうと子どもは勝負にならん。
幼稚園児だろうが、高校生だろうが、
良いものは良いし、ダメなものはダメだ。
だから絵を教えてるっていう自覚は正直、あまりないな。
絵なんか教わるもんじゃないとも言えるし、
ワシが教えれば誰でも70点くらいまではうまくなる。
でも結局、最後はその人の魅力だよ。
それは業の深さに比例しちゃうんだよ。
こないだのジュニアは相当たいへんだったようだが
この程度の制作はさらっとやってほしいね。
問題はその先なんだよ。
「あーたいへんだ」と思うその先に、
表現の可能性や違う価値観があるよね。

個と集合のダブルイメージを持てたか?
積み重ねのイメージを、スタートの時点で持てたか?
作品は自分が考えたこと、思考の結果なんだぞ。
「子どもでも?」って思うかも知れんけど
子どもの方がむき出しになるんだぞ。
「絵を習いに行ってる時点でマズいんじゃないですか?」って言われても、ワシは絵を教えることの大切さなんかは言わないよ。あの質問には、「こざかしい教育システムの中から天才なんか生まれてきてほしくない」っていうある種の夢があるような気がするの。そこに対して「いかに美術を学ぶのが大事か」なんて、無意味な話じゃん。
みんなすごい才能の前に途方に暮れたいんだよ。言われた通りに描いて、言われた通りに色塗って、お受験みたいに美術が生まれてほしいわけじゃないよね。気をつけないと、教える方も、教わる方も、教育にそういうものを求めちゃうよね。美術はそんなもんじゃないんだ。ワシらがやってることってのは、美術の教育じゃないんだ。美術を通した教育を目指してるんだ。偉そうなことは言えないけどさ…こないだなんかワシ、道端でおまわりさんから職務質問受けちゃったしね。職業聞かれて「絵描いてます」なんて言ったら、なおさら疑われるんだよ。やれやれ。