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5月の授業がスタート。ジュニアにとってはかなりセンセーショナルな美術家・ダミアン・ハーストの作品をイメージした作品を制作します。
まずはみんなに聞いてみました。
「何のために絵をかいたり、作品をつくっていますか?」
「美術はなんのためにあると思いますか?」
楽しいから、心がいやされるから、好きだから。子どものまっすぐな意見が。
ハーストいわく、「アートとは、生きることを考えるためのもの。それ以外の何ものでもない」。ハーストは死んだ・あるいは生きている生物を使用した一連の作品で一躍話題になり、「残酷だ」、「これは作品として認められるのか?」と美術界に賛否両論を巻き起こらせました。しかし、作品を通して人間の業や摂理を表現し続ける彼のメッセージは一貫しており、それに対して評価し、作品の価値を認める人々も多いのです。現に彼の作品は、1点何百億というとんでもない額で取引されています。
ハーストの作品の写真をみて、こどもたちももれなく衝撃をうけていました。
「これはひどい」「でも見たくなる…というのもちょっと思う」「むりむりむり!」
反応は実にさまざまです。
これこそが、ハーストのねらい。作品を見ることで、自分の中の思考や感情が否応なくゆさぶられます。そのくらいインパクトがあるのです。写真でもそうなので、実際に見に行ったとしたら相当かと…。
生物を使った作品のなかでも、蝶の羽根だけをつかった一連のシリーズがあります。
蝶といえば、歌にもなっているくらい、春のイメージ、明るい、美しい、かわいい、色がきれいといったポジティブなイメージが強いものですが、ハーストはその蝶のイメージ自体をくつがえす、あるいはちがった形で美しさを浮き彫りにする作品を作りました。
「蝶はいつか死んでしまうが、羽根は死んでも美しい。」さまざまな種類の蝶の羽根だけを使って、万華鏡のようにキャンバスに配置した、一見ものすごく美しい作品。しかし制作中の行為を考えてみても、かなり残酷な作品です。しかし私たちが普段している昆虫採集は?標本は?文化によって認められている行為とハーストの作品の違いとは?
こどもたちも、感情ではもんもんとしながらも、美しいこの作品に対してなんともいえない様子。
この蝶の作品をイメージして制作していきます。
とにかく色彩の美しさ、配置の美しさに集中してみようという試みです。
特別アイテムとして、「押し花」をピックアップしました。
死んでもうつくしい=花としての役目を終えても形や色を保つもの=押し花。
蝶の羽根との組み合せで、作品を作ります。
いろいろなお花を積み、丁寧に押し花づくり。
花びら1枚1枚、大切に扱います。子どもたちも神妙な顔。花びらはきれいだし、楽しい制作ではあるのですが、常にもんもんとしている様子。
一週間後、押し花完成予定。うまくいくといいですね。
作品の下地のボードに色も塗り、来週完成です。お楽しみに。