2013年1月 ロードアートふゆのほし

■冬もロードアート?
 校長もびっくり、まさかの冬のロードアート!デッキブラシはどうすんねん?チョークで描けるの?いえいえ、もちろん冬のロードアートは雪中ロードアートでございます。つまりチョークは使えませんので、代わりに砂を使って絵を描きます。そしてデッキブラシは使いませんので、代わりに除雪用スコップを…
 なーんて、いろいろと変更点はあるにせよ、夏と同じかそれ以上の期待を胸にはじめる、冬のロードアート。映画『八甲田山』みたいにならないよう気をつけないと。一月の札幌は相当寒いしね。ヒューッ(風の音)
 これまでのロードアートは、みんなで集まって大きな絵を描き、その日のうちにきれいに消し去るという点でまさしく純粋なアート活動に近いものでした。もちろんそこには「みんなで協力して作る」「作品のダイナミズム」「片付けまで行う」など、子どもの教育面での目的は多々ありましたが、今回の冬のロードアートはより社会的な目的や、地域ならではの特性が感じられるものになっています。

■砂について
 せっかくなので、まずは使う砂について詳しく説明しますと、今回雪に絵を描くために使う砂は、札幌市と北海道開発局がツルツル路面対策のために設置している「砂箱」の砂、「滑り止め用」の砂です。このツルツル路面対策の砂撒きに関しては、専門業者の方が撒くだけではなく、地域のみなさんが気付いたときにマメに撒いてくださることが一番効果が高いとのこと。しかし存在は知っていても、使い方がわからなかったり、何となく敬遠していたりという方も少なくないはずです。実はいろいろと対策がしてあるのですが、使った後の袋をどうするの?とか、勝手に撒いていいの?とか、多少躊躇されるところもあるのではないでしょうか。さらに春先になると溶けた雪の下にたくさんの砂が残りますから、これもちょっとした問題です。しかし実はこの砂は排水溝にたまった砂を集めて作ったもので、いわゆるリサイクルされてできているもの。つまり今回撒く砂も、みなさんのお役に立ったあと巡りめぐってまた砂箱へと戻されることになるんですって。
 ということで、今回の活動では絵を描くために使った砂をその場で集め、帰り道の「ツルツル路面」に撒いて帰っていただくというところまでをロードアート活動といたします。おうちにつくまでがロードアートですよ!

■広場・公園について
 冬のロードアートの活動場所になるのは、創成川公園・狸二条広場です。札幌市中央区のど真ん中にありますが、冬場の公園内は細い歩道の除雪しか入らず、ほぼ全面が雪に覆われたままとのこと。せっかく広場があるのに、これではなかなか市民が活用できない。もったいないぞ!
 今回は雪の上に砂で絵を描くため、みんなで雪を踏み固めて平らにしたいのですが、よくよく聞いてみると、それどころの話じゃないそうです。「整地の前にまずは除雪が必要」とのこと…うーん、困ったぞ。ロードアートするからには、けっこうな広さが必要だし…ということで、お父さんたち、出番です!子どもたちが広場に入れる状態になるよう、除雪用具を持参して、整地作業へのご協力をお願いしたいと思っています。もちろん子どもたちもできることは一緒にするぞ!

■ふゆのほしについて
 そんなこんなで、第一回目となる今回の冬のロードアートは、まずはどこまでできるかえふでだけでチャレンジしてみよう、と思っていたところ、大塚いちおさんから思いがけず「もちろん協力するよ」とのお話が。え!マジっすか?と驚いているうち、すぐに星の絵が届きました。見る人がみたらわかるが、これ、描けそうで描けないぞ。さすがイラストレーター日本代表(?)今回も北国にいちおワールドが炸裂しそうです。

■ラジへリについて
 これまでの夏のロードアートでは主にビルの上からの撮影をしていましたが、「ここまで来たらそのうち空撮しなきゃね」なんて笑っていたことが、いよいよ現実に!しかし人が飛ぶのではありません。プロによるラジへリ(ラジコンヘリコプター)を使った空撮を行います。今までのロードアートの概念を打ち破る不思議な映像が撮れそうです。視点の変化は自由自在!スピード感とかもありなのか?どんなんなるのかワシもドキドキですわ!

■異業種との化学反応
 このようにいろいろな展開を見せたロードアート、実は全く美術に関係のない業種の方との雑談から始まったのでした。道路関係のけっこうカタい仕事をしているその方は、夏のロードアートを見て「直轄国道でこんなことを!」と大興奮。聞いてるこっちはチョッカツコクドウ?て何ですか?というレベルでしたが、話をしてもりあがるうち、あれよあれよという間に、ロードアートを面白がってくださるいろんな方を巻き込んで、そんな方々の得意分野とのあいだで様々な化学反応が起こり始めたのです。冬なんか無理!水撒いたら凍っちゃう。デッキブラシ使うなんてカーリングだよ!なんて冗談めかして笑って話していたところから、どんどんみんなを巻き込んで転がっていき、身の回りの現実にある問題点をいくらか解決する手助けになるのかも。アートというカギはもちろんですが、美術以外の観点からも、みんなの考えをつないでいくような、新たなかたちのロードアートになるような気がします。