2013年4月 FREITAGって知ってますか?

 FREITAG(フライターグ=ドイツ語で金曜日)って知ってますか?シンプルなんですが独特の雰囲気を持ったバッグブランドです。えふでにお迎えにくるお父さんのあいだでも何人か使ってる人を見ますから、実はファンもけっこう多そうです。

■ある意味、超アナログな工作少年だったフライターグ兄弟。
 さて、今をさかのぼること約20年前、1993年のある日、他人をびっくりさせたり、面白がらせたりするのが好きなマーカス・フライターグとダニエル・フライターグの兄弟は、当時彼らが住んでいた、チューリッヒ市内の学生アパートの目の前にあったフリーウェイの分岐点を往来する色とりどりのトラックから着想し、彼ら自身のために雨風に強く便利なメッセンジャーバッグを作りました。今や世界中にファンを持つバッグブランド「フライターグ」 はそこがスタートだったのだそうです。最初につくったのがメッセンジャーバッグだったことからも分かるように、フライターグ兄弟は自転車が大好き。もともと捨てられた自転車から部品を外して、自分だけのオリジナル自転車をつくったりするような子どもだったそうです。

■社会へ問いかけるデザインアプローチ
 そんな工作好き少年たちの、ものつくりの延長上にこの会社がある。そのこと自体がまず素晴らしい。中国に工場をつくったり、チープレイバーに無理な仕事を押し付けて、儲けだけを追求するようなこともなく…今もチューリッヒの人々の雇用を守り、かっこよく、楽しく働いているのです。そのバッグの完成度もすごい。ヨーロッパの大型トラックは、日本と違ってほとんどが幌を張ったものなのですが、広告や、会社のロゴなどが描かれたその幌は、5年くらいで役目を終えて廃棄されるそうです。使い古されて捨てられるトラックの幌と自転車のチューブ、廃車のシートベルトを再利用した結果、できたバッグは世界に1つしかないものが出来上がるのです。

 で、校長が思うに、それはいわゆる「エコ」ではなくて、日本古来の「節制」とか「仕立て直し」に近いものだと感じます。だってトラックの幌だから丈夫だし、雨に強いし、シートベルトも丈夫で軽い。何より大きな幌の一部を大胆に切り取って…かっこいいんですよ。そもそもフライターグ兄弟の好きな大好きな自転車。そしてその自転車乗りのためのメッセンジャーバッグ。自転車ってって2つの(bi)輪(cycle)って言う意味。2人で始めたブランド。ものとしての輪っか、循環という意味でのサイクル、そしてビジネスとクリエイティブのつながりとしての行程という意味でのサイクル…むー。これぞクリエイティブ。決して大きくはないけれど、彼らの会社の運営の仕方、お金の使い方も…クールなんですよ。

■大人も楽しめる展覧会の企画に発展しました。
 今回皆さんにそんなことをきちんと紹介したいな、と思っていたら、なんとフライターグのかたも、札幌のインポーターの3KGのひとも面白がって盛り上がって…子どもたちの作ったバッグの展覧会をやろうじゃないか!ってことになりました。実は校長が所属するギャラリーのすぐ隣にはハンブルグ店(ヨーロッパ2店舗目でけっこう大きい)があるのでワシはお店のお兄さんたちと顔見知り。行くたび立ち寄るなかよしさんなんです。そんなフライターグと日本の北のすみっこにあるアートスクールの子どもたちが、いつのまにか協力して展覧会をすることになった…ってこと自体にワクワクしますね。フライターグ兄弟も日本が大好きなんだってさ!あ、そういえばこの前の個展の時「フライターグ兄弟も校長の作品を気に入ってたよ!」なんて言われたぞ。ホントかな?