2013年9月 ロードアートRoccaRials リベンジしたぜ!

リベンジは快晴!

 夏休み前、みなさん大量のてるてる坊主を作ってくれてたおかげでしょうか。夏のロードアートは朝から快晴!暑い一日でしたね。今回は、小さなこどもたちが「じゃんけん列車」でつながり、巨大RoccaRailsの上を歩くというロードアート。送迎や見学のお父さん・お母さんたちもおつかれさまでした!
 まほうの絵ふでのロードアートには、毎回たくさんの大人たちが様々な形で協力してくれています。やはり皆さんの目にはあんまり触れない準備や作業もたくさんあるのです。また、下は4歳から上は17歳まで、様々な年齢のこどもたちがひとつの場に集まると、まわりから期待される役割もそれぞれで違います。
 道路で走り回っていた小さなこどもたちの仕事は「遊ぶこと」。暑い中それはそれでたいへんなことなんですよ。逆に一番年上のラボの中高生たちは、大人のスタッフと一緒に裏方仕事で大いに活躍してくれていました。

 自称「こどもにきびしく、大人にやさしく!」がモットーの校長ですが、実はキッズよりもジュニア、ジュニアよりもラボに、どんどん厳しくなっていきます。まずキッズのこどもたちに期待するのはやはり「みんなに愛されること」。楽しむこと、できると思うことが一番だと思っているのであります。危ないことや秩序を守らないことに関してはキッズといえども厳しいけどね。  ジュニアの小学生には「しっかりやれよ!」自分が楽しむだけではなく、キッズのこどもたちも一緒にできるよう見てあげるのも、人との関係や仕組みを考えられるジュニアの学年になればできること。実際、今回のようにルールが複雑なゲームを支えたのは、ジュニアのこどもたちのがんばりが大きなカギになっていたと思います。さらに小学校高学年にもなれば、大人のクリエイターやスタッフのみなさんに、感謝やあこがれの気持ちを忘れないことも大切なことのひとつです。

 さて、ラボの中高生の場合は…いきなり校長に「バカもん!」と叱られるのであります。あんまり大きな声で叱っていたので、道行く方たちの中にはびっくりした人もいるかもしれぬ。今回はたくさんのラボの中高生たちが準備から裏方の運営サポートまで参加してくれていたのですが、ほぼ全員に大人のスタッフの側に立った目線で動くことを要求しました。限られた時間のなかで道路を占有して行うロードアートの現場は、はっきり言って時間とクオリティとの戦いです。ふだんの教室での制作とはちがい、ひとりひとりの仕事が全体に影響することだってあり得る話。ロードアートはラボの生徒にとっても、大人のスタッフにもまれ学ぶチャンスといえます。

 こういう機会があるたびに、校長はラボの生徒たちをずいぶん叱り飛ばしているのでありますが、まわりの方たちにも、よくそこまで思いっきり叱れるもんだという顔をされることもしばしば。実は同じ「バカもん!」でも、相手によって叱り方を変えているのです。今年のラボがおおむねよい動きをしたという結果を踏まえて、ちょっとだけその辺を明かして解説してみることにしよう。(ホントはナイショだがね。)

校長の「バカもん!」の次にくる言葉は…?

 例えば知性があり、なかなか賢いところはあるんだが、何せ思考のスピードが遅いというタイプが相手の場合には。正直、時間の制約がある現場ではなかなか困るタイプです。こういう生徒には「バカもん!」のあとに、必ず理由を端的に言うようにしています。「それをすると後からこう困るであろ!だからあっちの方法だ!」納得するまでに時間がかかるので、逆にあえて急がせて動きを止めないように叱り、同時に理由も伝えながら具体的な指示を出していきます。逆に思考が早く、打てば響く賢いタイプには「バカもん!お前のやろうとしていることはこういう結果につながるぞ!」ここまでで終わらせます。あとは自分で考えろ、という余地を残しておく方が、こういうタイプには良いのです。さらに反応のスピードは早いが、なにかと早とちりが多い生徒には…「バカもん!あっちだろ!」シンプルに指示を出してしまいます。あれこれ理由をつけたり要素を複雑にすると、考え込みすぎて余計に混乱しがち。ひたすら経験させ、理由は家に帰ってから自分で考えろ、というスタイルです。さらに、照れや自意識が強くてなかなか素直に動けない生徒(年齢的に中高生によく見られる)には、あえて責任を持たせる仕事をまかせることも。もちろん、本人のペースではなく、現場の都合優先で。そういう生徒には「バカもん!」「早くしろ!」の言葉が、理不尽と受け取られても良いのです。ワシが無理矢理やらせているということをそのまま認め、四の五の言わずに全体のためワシに従え、とはっきり叱って言うのである。

 ここまで書いたので正直に言いますと、どんなにアホだってよいのです。失敗も、ある意味しょうがない。しかしロードアートのような現場では、いちいち落ち込むヒマすら与えられない。そこが良いのです。近くにいる者が、体当たりで問題を解決するしかない。こう言うと批判もあろうかと思いますが、人間は本来「自我を抑えて全体のために努力する」ことが嫌いじゃない生き物だと思うのです。つーか、そういう縛りってほのかに楽しかったり、やりがいに繋がったするのが不思議なところ。特に日本人はね。

 …そんなこんなで、ワシはラボの生徒を積極的に叱ります。その想いはひとつ。自主的に考え、自分のなすべきことを実行できる人材になるチャンスだから。躊躇して思考停止、迷って立ち止まる…ええ、ワシは言います「バカ!」経験値を総動員しつつ頭はフル回転で、とにかく動かなきゃいけない。だからこそ「お前がやれ!」ちょっと無理難題ながら、その経験があって初めて、コイツならやってくれそう…という雰囲気が身についていくのだと思うんです。

 えふでのアートラボはただの「絵がうまい集団」ではないぞ。打たれ強く、他人にあてにされる人になれ!