2011年3月 子どもたちの目が真剣!ロッカ大会

 1年生から6年生までの小学生が参加して開催したRocca大会。ある意味アナログなカードゲーム・ロッカをただの遊びと侮るなかれ…様々な驚きや新鮮な発見の連続でした。
 全国各地でロッカ旋風が吹き荒れようとしている今日この頃、校長的には見た目の素晴らしさに惹かれて前々から目をつけていたのですが、ゲームのおもしろさがこれほどまでとは。想像以上のクオリティ。実は子どものロッカ大会のあと、主催者チームの大人たちでゲームをして遊んだのですが、…すっげ面白かった!もちろん、話すだけでも楽しい魅力ある人たちとゲームをしたということもありますが、ゲーム自体が本当によくできているんです。そこで柿木原さんと話す中で出てきた話題は…「ロッカをすると頭が良くなる」?「ロッカで前頭葉が活性化する」?どういうことなんでしょうか?

単純なものごとの方が脳が活発になる?

 近年の研究では,コンピューターゲームとアナログなゲームでは、前頭前野を活発にするちからが異なるとのこと。実は複雑な思考よりも、むしろ単純な計算などのほうが有効なのだとか。ロッカのルールはすごくシンプル。しかもコミュニケーション力や、場の状態を見る力、感情を抑えて他人に戦略を読まれないようにする力…などなどこころが鍛えられます。これは本当に頭が良くなるのかも?そこでいろいろ調べてみるとこんな文献がありました。
 『脳も体ですから、単純に言えば、たくさんの刺激を受けるほど、鍛えられていきます。』『人間ならではの思考活動をする場所、それが「前頭前野」という部分です。では、その前頭前野はなぜそれほど大切な場所だといわれているのでしょうか。前頭前野には、思考する、行動を抑制する、コミュニケーションをする、意思決定をする、情動の制御をする、記憶の制御をする、などのはたらきがあることが分かっています。「キレやすい」子どもたちなどといわれていますが、わたしたち脳科学者からすると、キレやすい子ども=前頭前野の機能が弱い、前頭前野の発達が未熟だと見えます。キレるということは、「ほかからの刺激に対して、情動的反応が生じ、このコントロールがきかなくて、社会的にはしてはいけない行為をしてしまう」ことだと考えられます。「情動の制御」「行動の抑制」という前頭前野の機能がうまく働いていないのです。』(教育ジャーナル/大脳研究最前線 東北大学川島隆太先生の講演より抜粋)

気になる!ふたりのクリエイター

 さて気になるのがやはり、このゲームを作った柿木原政広さんとトゥルーリ・オカモチェクさん。柿木原さんは、長い会員の方は覚えてらっしゃるでしょう、2008年夏のロードアート・ツリーのアートディレクションをしてくださった、あの柿さんです。みなさんがよく知っているイオンの「ふふ〜ん♪」のディレクションのほか、最近では絵本『ぽんちんぱん』なども、小さな子どもたちを中心に人気です。
 問題なのが、もうひとりのトゥルーリ・オカモチェクさん。帽子、メガネ、ヒゲに蝶ネクタイ…どっからどう見てもあやしい人!片言のトゥルーリ語で聞いたところによると、もとは数学科出身で、その後美学・美術史を専門に研究し、さらに書籍の編集や音楽活動など多岐にわたる活躍をしているとのこと。ま、ますますわけがわからん!しかしワシが今まで会ったクリエイターの中でも指折り変で、ずば抜けて頭が良いということだけは確かです。子どもたちをすっかり魅了したトゥルーリさんの謎ははじまったばかり。また来訪の機会があることを心から期待します。

賭け事って子どもにいいの?

 今回の大会では、チップのかわりに自分が作ったチョコレートを賭けて対戦しました。もしかすると外部の方から子どもに賭け事を勧めるのかというお叱りを受けることがあるかもしれません。写真をみると、スターバックスコーヒー店内がまるで賭博場さながらの雰囲気ですしね。
 校長は賭け事にいっさい興味がないのですが、勝ち負けに対しては、どうしようもなく血が騒ぎます。つーか負けるの大きらい!これはもう遺伝子レベルでの問題なのかも。今回感心したのは、柿さん・トゥルーリさんともに子どもの前でもルールに厳格で、全く手加減しないとこがさすがでした。しみじみ思ったのですが、やはり大人が安易に子どもに勝ちを譲っちゃダメですよ。家庭でも厳格なルールのもと、容赦なく子どもを打ち負かしてください。お互い真剣勝負。子どもにとって親が最初に乗りこえるべき壁にならなくてどうする!リアルな痛みや感情の震幅も大事だと思うのです。