2012年1月 こども³展 こどもさんじょうてん

 こどもの定義ってなんだろう。未成年?体が小さいからこども?親に養ってもらうのはこども?「こども」という言葉は、案外あいまいなものだと思います。

 ワシらはずいぶん長いこと「こども」と接してきたけれども、まだまだ答えは出ないのです。そこにいるおじさんだって、自分のおかあさんの前ではこどもだし、こどもといえども大人の大会に出て大活躍する小中学生だってたくさんいる。少なくともこどもの能力が大人に劣るというわけではなさそうだ。こどものくせに…なんて思っても、ワシ自身お金のことなんぞいまだにしくみがよく分かっとらんし、死ぬことについてもよくわからん。しかし好みや価値観とか、今の自分へとつながる思考のほとんどは、十四歳くらいのときに考えたことのような気がしている。…ということは、えふでのこどもたちも今考えていることが、そのまま未来につながっているのかも。

 そこで映像作家の小林三旅さんが、小学生のこどもたちとじっくり向き合うインタビューを試みました。ステレオタイプなイメージから一歩踏み込んで、頭の中に入り込んでみると…実際どうなの、「こどもらしさ」って何!

 今回の映像展示のメインはインタビュー。小2から小6まで、6人の子供達のお家にわし小林三旅が伺って話を聞いて来ました。どの家にもえふでで作った作品が大事に飾ってあって同行した松本先生の感激もひとしおの様子でした。家のインテリア率が高かったのは4月に作った「くもっくも」だった!
 で、肝心のインタビューのために選んだテーマはそれぞれちょっとハードな問題だ。どれもこれから生きていくうちにきっと悩んだり考えたりしなければならないこと。
どんな答えが返ってくるのか事前にスタッフ同士で予行練習したら自分が答えにつまってしまいました。どの話題もわしはまだ未解決だな。



 インタビューのトップバッターは小6のあきらくん。東京育ちのわしにとって北国の家にも興味津々。でかくて広い!うらやましいぞ。
 テーマは神様について。世間的には、学校で合掌していただきますと言うと「宗教的に偏ってる」とクレームが来る時代らしいけど、こころの問題を考えるとき宗教は今も様々なヒントをくれる存在だと思う。難しいと思いつつも、あきらくんに「神様っていると思う?」直球で聞くと、予想外にもいます!とズバリと返ってきました。その後の話は頭の中に広がるゴッドワールド。うなりました。信仰を持つって良い事だと素直に思いました。わしもあきらくんの神様欲しいぞ!


 お次は小4ののりくん。お金って存在がどんなものか理解はしていても、あまり興味なはい様子。最初にのりくんが大事にしている宝物が幾らぐらいの価値があるのか聞いてみました。持って来たのは長年愛用のぬいぐるみ二つ。その値段のつけ方を聞いているうちに、お金ってただのルールなんだと改めて気づかされました。それぞれ物には必ず価値があるけど、実は同じ価値を共有してないんです。本来バラバラだからルールが必要。アメリカでは高校生になると経済の授業があるそうです。日本でもそうゆうの必要だよね。


 ともくん。立派な個室がうらやましい。スポーツも得意でスキーや野球のグッズが所狭しとならんでました。文武両道で将来モテそうだな。ともくんには生命、生と死について聞いてみた。まず、話が噛み合なかったのは「生きている」ということについてだ。「生きる」ってことを考えるのは実はとても抽象的なことなんだな。なので、死についてどんな感覚を持っているのかに集中することにした。最近の身近な出来事、おじいさんの葬式のことを聞くとその時の印象は「蚊がたくさんいた」とのこと。うーん。やっぱり難しいのかな。でも、さらにねばって聞いてみると突然、ともくんに大きな変化が表れました。この様子は展示で見て下さい。


 小3のゆうまくん。こんなご時世なので日本のこと世界のことを聞いてみようと思った。最近の大事件について質問したら、特に思い当たらないと。北海道は平和でよかったね!テレビで流れるニュースも自分と関わりを実感するのって実際は難しいんだよね。でもあれこれ探ると「まんが日本の歴史」を最近読んでいたこと発覚。で、日本の歴史について、「争いが多いなあ」。ほんと歴史ってほとんど争いごとの記録だよね。なので、ゆうまくんにはなぜ戦争がなくならないのか、あえて聞いてみることにしたのでした。


 山の麓にあるさきちゃんちは森に囲まれていい雰囲気。お父さんが建築家ということで、シンプルでかつひろびろとした、吹抜けの2階建ての贅沢なお宅。2階にある備え付けの長いテーブルにお父さんと並んでさきちゃんの席がありました。子供って大人より男子と女子の壁ってあったような気がする。こうゆうのホント不思議。でも、さきちゃんは他の子と違って男の子の遊びにも平気で入ってるとのこと。女の子らしいものはあまり好きではないようだ。それから色の話になって赤は女で青が男のイメージって、なんでそう思ってるんだろって流れに。当たり前に思ってることが次々に解体されていくぞ。


 たまきちゃんは本番に強いタイプだそう。インタビューもはきはきと話していたぞ。その場の雰囲気に敏感なようで、気持ちのいい場所だとさらにパワーアップ。そろばんの選手権で全国大会で優勝したときはその場所が楽しくていつもよりも集中できたそうだ。「好み」や「興味」ってのも自然に備わってくるから不思議だ。たまきちゃん、今なぜか、ある身近なものについてのこだわりが強いようで、その熱い思いを聞かせてもらったぞ。また逆に「嫌い」「つらい」ことについてどう思うかと聞くとこれもしっかりとした答えが。うむ、確かに本番に強いかも。


 いろいろヒヤヒヤしたけど、インタビューで子供の「頭の中を覗く」という作業は一応うまく行ったと思う。普段、子供は、学校では「教わる側の」生徒として、両親と話すときは「保護されている」息子、娘として大人と関係していて、ある種の上下関係の中で生きている。だから、今回のようにしがらみのない「ただのひと」と話し合うことは、子供にとってとても新鮮に感じたんじゃないかな。難しい質問に対して一生懸命考えて話してくれたことはきっとこの後何か役に立つと思う。
 是非展覧会に足を運んでいただき、わかりやすい言葉ではないけれど、本気で悩んでる表情や、含蓄のあるフレーズに触れて子供たちのまっすぐな世界観に触れてほしいです。