春のえふでプラスのテーマはiroiro。かなり本格的なパステル作製に挑戦しました。もちろん今回のねらいは「画材のなりたちを体で学ぶ」ということですが、やはりせっかくのプラスですから、ものを作ることに対しての尊敬が、こころのどこかに残って欲しいという願いをこめました。市販されている物も、コストを度外視して工夫すればまず自分でも作ることができるということ。そして世にあるいろんな物が、自分たちの考えよりもはるかに手数がかかっているということを、体で感じて欲しかったのです。できることならちょっともったいなくて使うのにちゅうちょするようなセットができたらいいな、なんて。 ヨーロッパの美術の専門教育では、まず自分の使う絵の具の量をずいぶんきびしくしつけられるという話も聞きます。材料を使うことに対してのイマジネーションや、計画性に対するきびしさがあるようです。同じ時期にアメリカで驚いたのは、画材の豊かさです。使ったところを剥がして捨てるタイプの使い捨てペーパーパレットなんかは、まるで大判のカレンダーみたいなサイズ!日本で売ってる大きなサイズのものの軽く二倍!習作用キャンバスもタタミくらいのが売っていたりと、物量感に圧倒されました。絵の具のサイズももちろんビッグなお徳用。アメリカの美術教育では自分の使う分だけ絵の具を出しなさいとは言ってはいなかったようで、なんだかそれぞれ、生活の中でも美術教育と共通していることがらがあるような気がしてきます。 ヨーロッパでは食事を残さないよう叱られて、子どもが泣きながら食べてるところを見たことがありますし、アメリカのファストフードのお店では、紙ナプキンごっそり、マスタードやケチャップは数も数えずに渡されて、ほとんどそのままゴミ箱へ。日本はどちら寄りなのでしょうかね? さてプラスの話に戻ってランチタイム。えふでクッキングに突然登場したアントワープ出身のシェフ、ポールさん。一見ユニークで明るいベルギー人なのですが、実はとても教育に厳しかった!叱るところは叱る、できていないものはできていない、とくっきりはっきりと線引きをしてくれるところが、えふでの子どもたちにはとてもよかったなーと思いました。子どもたちのまとめ方も上手で、指示もわかりやすい。そのあたり、プロ意識というのか、厳格な教育の歴史が根付くヨーロッパ的というのか…とにかくさすがなのです。大きなテーブルを囲んだヨーロッパスタイルの食事では、「ベルギーの家族を思い出す」と何やら感慨深そうに楽しんでくれました。 もちろん校長もあまりえらそうに教育について話すような資格はありません。えふでプラスは内外の皆さんのおかげで子どもたちも楽しみにしてくれるイベントとして、そしてちょっと変わった造形講座として、広く興味をもっていただけるものになりました。今回も、多忙なポールさんのご参加や、はるばる京都のパステルメーカーさんはすばらしい質の顔料と技術提供をしてくださいました。それだけえふでの子どもたちに対する期待は大きいのです。 子どもたちにもいつも話していますが、これが決して当たり前ではない。ある意味稀にみる恵まれた状況にあるわけです。ですからなおのこと、作ることに対して厳しさをもち、創りだすことに対して畏れや、尊敬を持ち続けてほしい。その意味では毎回がチャンスですから、常に自分の限界まで挑戦するのが大切なんです。