今年は古い古い職人の技術をピックアップ。昔の人は、今のワシらが考えられないほど知恵を絞り工夫をこらして生活を営んでいました。もちろん今から見れば不便なことも多かったでしょうし、諦めなければならなかったこともたくさんあるはず。(時速二百キロの乗り物なんて、夢のまた夢!) 数学者の藤原正彦先生がエッセイのなかでこのようなことを書いていらっしゃいます。「アインシュタインがどんなに優秀であっても月に人を送ることはできなかっただろう。それは電子計算機や加工技術など様々なことがらが、それを実現するためにはまだ足りなかったから。数学も同じで、どんなに優秀でも周辺の問題、いわゆる数学上の武器となるべき定理ができていない時には解けない問題もあるのです」
つまりやりたいと思ったことを実現するためには、そのまわりの技術や時代性など様々なことが影響するのです。そのときにしてみれば最先端の加工技術や新発明された素材など、手に入る知識や素材、技術を総動員して新しい表現を生み出し、それが多くの人をワクワクさせてきたのでしょう。
ものを伝えたり、知らせたりという面でも、いつの時代もみんな自分の作ったもの・考えたものをたくさんのひとに見てもらうやり方を夢見てきました。いまなら動画を携帯電話で簡単にやりとりできますが、そんなことだって、何年か前の時点ですらできそうでできないことでしたもんね。
今回のえふでプラスのテーマである写真や活版印刷、リトグラフなどのプリント技術のあれこれだって、そんな多くのひとの工夫の産物です。みんなその時代に使うことのできる技術、素材、科学反応などできるかぎりの知識や努力、経験、時にはちょっとした偶然から生まれた技術です。現代の生活の中にも、気がつかないようなところで応用されているものも少なくありません。今回はそんなずっとずっと昔に生まれ、今に至るまでその魅力が失せない様々な技法の秘密を求めて、その道のプロといっしょに制作を体験していきます。
おかげさまで内外のいろいろな方がえふでの子どもたちの活動に興味を持ってくだり、質問を受けることが多くなってきました。「活版を、子どもが?」はい!「・・・すごくたいへんですけど、できるんですか?」えふでの子たちなら!(ふつーは無理だけど)
「リトグラフは初めて?」はい!「どのくらいの大きさのを刷るの?」A2くらいのを大量に!「・・・(絶句)」
経験の無い人が聞けばへえ〜、楽しそう、とニコニコ聞いていられても、その道の玄人が聞くと言葉を失うような無謀なチャレンジ・・・さっすがえふでプラスぞな!
むずかしさを知ることを通してはじめて、作ることに対する尊敬が生まれる。たいへんさを知ってみなけりゃ、それを軽々こなすプロに対するあこがれは生まれない。そんな一〇〇%本気アタックでこの夏もえふでミラクルを起こします。今年の夏も、すげーぜ!乞うご期待!