2008年4月 えふでプラスiroiro

 アートは感受性や才能だけで成り立つ世界ではありません。ひも解いて見てみると、「目に映る」「感じる・考える」というものは、科学の世界とも密接な関係があります。
 みなさんお楽しみの今年の春のプラスは「iroiro(イロイロ)」。様々な角度から、いまだ謎の多い色彩の世界に踏み込んでいきます。今回えふでが子どもたちに伝えたいのは、例えば色の調合や配分などという、レシピやある種の答えではありません。普段の授業でも、色や絵の具の混ぜ具合について、一般の子どもたちよりも経験がありますもんね。だからこそ!今回はあえてその色彩について、もう一歩踏み込んでみよう、という試みです。「分かってる」「知ってる」とついつい思ってしまいがちだけれど、ほんとのところ、私たちはそのものについて、どのくらい知っているのでしょうか。「テレビで見た!」「教科書にのってた!」いやいや、そんなことではなくてですね、頭では十分わかっているはずのことも、実際にしてみると、「へえ〜!」とか「うわわっ!」みたいになるでしょう?本物の世界は、発見や驚きの連続です。
 身近なところに情報はたくさんあるし、調べるのも教わるのも容易になった今、自分が「いかに知らないか」をわからせること、つまり頭と心を活性化させていくことの方が大切なんじゃないかと思います。
 もちろん、先生たちも色彩について、全てを知り尽くしているわけではありません。なんてったって、今回は画材の素の素である、顔料からの取り組みですからね。科学的に解明されていないところもたくさんありますし、色に対するセンスはみんなそれぞれ違います。答えはないし、自分で決めなくてはいけない。もっと知ろうとして掘り下げて考えていくこと…つまり工夫したり、原因と結果の結びつきを考えることで、素材そのものに入り込む経験ができるのでは、と考えています。
 さてさて、えふでプラスというだけで、教室の子どもたちは「先生、今回もたいへんなの?」と聞いてくるようになりました。(しかし不思議と目はキラキラ。)そりゃそうだ、ハンパじゃないぞ!ただし、がんばるのが苦にならないのが才能だと言い続けてきたまほうの絵ふでですから、今回もただの苦行ではなく、「自分のやった分しかできないたいへんさ」、裏を返せば、自分でがんばった分の手応えは付いてくるわけです。最終的には画材づくりというかたちで、自分だけのオリジナルセットを持ち帰る予定。もちろんがんばった人にはがんばったなりの喜びがあるものと思われます。
 そしてひとつ、良い機会なので書いておきましょう。授業にも、えふでプラスにも、おうちでする作品づくりにも、どんな制作でも失敗はつきものです。しかし良い失敗と、悪い失敗というのがあります。意味不明(理解不能)な失敗は、後になかなか活かされない。ただ残念。がっかり。しかし予定外の結果が表れたときに「なぜ」「どうして」を考えて、「なるほど」に結びつけられれば、それはたいそう良い経験になるでしょう。悔しくたって、長い目でみると、それはある意味健全でたいせつな感情なんです。えふでのプログラムは、隅から隅まで完璧に間違いなく失敗しないというレベルまで準備することももちろん可能です。(そしてその方が現場の指導は数倍楽です。)でもそれって、長い目でみると、子どもたちの成長には何の役にも立たないことが多いですよね。だからあえてちょうど良い引き加減のところまで準備をしておく。あとは現場にいる全員が(子どももおとなも)必死になる!毎回、それなりに覚悟は決めて挑んでおります。
 さあ今回のえふでプラスも…たいへんだぞー。つらいぞー。それでも「わかってる!」「やってみたい!」という勇敢な子どもたちよ。よいぞ、今できる最大限のちからで体当たりするがよい!