ひとが成長するのはどういうときでしょう。ひとつはちょうどよい試練があったとき。例えば、いきなり重いものを持たせても、筋肉がつく前にからだを痛めてしまいますから、できるかできないかという良い加減の負荷をかけていく。そしてもうひとつは、イメージするだけではなく実践するということ。トレーニングの本を読むだけで筋力がつくわけではないですものね。自分自身でチャレンジすることです。
そして忘れがちなことがもうひとつ。それは「憧れること」。すごいスポーツプレイヤーや、本で読んだ偉人などなど…あこがれの対象は人それぞれですが、自分がイメージできるかぎりの高い目標を持つことは、子どもたちにとって幸せなことだと思います。
さて、春の特別授業の先生としてこれまたすごい人たちがワークショップをしに来てくれることになりました。音楽家の阿部海太郎(あべ・うみたろう)さんと、2007年「クリエイションとエデュケイションのあいだ」展でもえふでに登場したアートディレクター・植原亮輔(うえはら・りょうすけ)さん、そして植原さんとともに日本のクリエイティブを牽引している渡邉良重(わたなべ・よしえ)さんです。
阿部海太郎さんは、本部教室でいつもおなじみのあの音楽を作曲した方です。何となく印象に残っている人もいるでしょう。えふででは以前からよく聴いていたのですが、ワークショップの話がもちあがったのは、とある演奏会でのこと。植原亮輔さん・渡邉良重さんによる映像に合わせて、海太郎さんがピアノを演奏するというスタイルのライブに、校長は一発でノックアウトされました。ぜひともこれをえふでの子どもたちにも聴かせたい、いやいや聴かせねば!の勢いで、ライブ終了後「札幌で音楽会をぜひ。あのムービーとの相乗効果もすばらしかったです。」とお話をしました。すぐに植原さんや渡邉さんにもライブの素晴らしさを伝えましたが、みなさん何せ忙しい方たちですから「いつか札幌で」という感じで、まだまだ先になるものと予想していました。
「子どものためになるなら」と、早くもこの春実現できるなんてたいへんありがたいかぎり。特に植原さんは第 回亀倉雄策賞というデザイン業界のとんでもなく大きな賞を授与され、最年少で文字通り日本の頂点に立ってしまいましたから、展覧会その他のオファーの間を縫っての実施となります。実はこの3人は今、いろいろな仕事で映像と音楽のコラボレーションをされており、美術表現と音楽表現の可能性を広げています。今回は色やかたち、音楽によってつくりだされる規則性など、色々な方向からアプローチをすすめます。頭で考える以上に、感覚的な面から制作を見つめ直すことになるでしょう。そしてご想像の通り子どものワークショップのテーマとしてはたいへん難しい内容ですが、「子どもらしいピュアな感性と、専門に美術を学ぶ子どもたち、両方の刺激になれば…」との彼らの希望から、年齢の幅をできるだけ広く設け、各学年層に分けて参加者を募集します。第一線で活躍してる人の話を聞きたい、一緒に活動してみたいというひとはこの機会をお見逃しなく。
ところで。憧れるちからという意味ではワシの考えるひとつの理想はニセコです。近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんがオリンピックの強化選手や国体選手。地域の子どもの成長を気にかけて応援してくれる。そして世界に誇れる良い雪質の斜面がひろがっており、そこからまた次世代のすごいスキーヤーが生まれてくる…さてデザイン・美術の世界では?先述の通り、今年度の亀倉賞は札幌生まれの植原さんが受賞、JAGDAという全国のグラフィックデザイナー協会の新人賞でも、4人のうち2人が道産子なのです。もしかしたら北海道がすごい場所になるかも…えふでのみんな、期待されとるぞ!