まほうの絵ふでのウェブサイトでも連載していました、黒やぎ・白やぎの手紙。10月末までにえふでのポストに届いた子どもたちの手紙、全員に返事を書きたいと思いつつも、これまたたいへんな量でしたので…複数寄せられた質問や、なるほどこれは!というメッセージをいくつかピックアップしてお返事書いてみました。ウェブをご覧になっていない方のために、一部この繪筆新聞でも紹介しますね。
Q 前からきになってたんだけど、えふではいつできたんですか?それと、プログラムを考えるのは、校長だけなんですか?(小6・女子)
まほうの絵ふでのかたちができたのは30年くらい前なんだよ。校長は、小6のきみが生まれる前から校長してたのだ。ふふふ。さて、プログラムは先生たちみんなで考えます。それぞれ気づいたことや、ピンときたことをメモしておくのです。おもしろいのは、それぞれ考える場所がちがうこと。お風呂とかトイレとか歩いてる時とか…ワシはクルマの中が多いかな。実はさらにたいへんなのは、授業に組み立てていく仕事。これだと思っただいじなことを、みんなにわかるように、できるように、なるべくシンプルにしていかなくちゃいけない。道具や材料は何を揃えるのかってのも、すごく大事なことだしね。たぶん他のみんなも不思議だろうけど、ひとつのプログラムができるまでには、すごくたくさんの手間ひまがかかってるんだ。
Q 絵が小さくなっちゃうのはどうすればいいですか。(小6・女子)
これは、構図のことを言ってるのかな?紙や画面の中で、絵を小さめに描いちゃうってこと?うーん。こっそり外側切っちゃえば?でも誰も気付かないくらい、きれいにまっすぐね。
むずかしい言い方になるけれど、絵は自分の世界観を表すので、小さな遠慮は絵に出ます。余白にも必ず意味があります。だけど校長は、構図をむりやり直す必要はないと思います。もちろん絵の効果を考えると、構図はいいほうが得だし、訓練や練習で大きくできます。しかしそれは自我とか客観性がしっかりする中学生くらいからでもいいんじゃないかな。えふではよくトレーニング的な言い方をするけど、もちろん絵は自分の表現でもあるわけだから。自分が変わると絵もちゃんと変わるんだ。映画の黒澤明監督は「悪魔のように細心に 天使のように大胆に」なんて言ってます。おもしろいでしょ?
Q どうしてまほうのえふでってゆう、なまえなのかしりたいよ。こうちょうは、いつからワクワクさんをやるのかしりたいよ(年長・女子)
あれ?!ワシっていつかワクワクさんになるのか?!むむー。しかしワシがワクワクさんになっちゃうと、もとのワクワクさんの仕事がなくなっちゃうであろ?ワシはえふでの校長だからならなくていいのです。
まほうの絵ふでの由来は…なぞなのだ。ワシは3代目校長なんだけど、実は2代目校長からこっそりその秘密をきいている。しかしだれにも言わないと約束しとるのだ。だからここでは教えられません。それにしてもおかしな名前だよね、まほうの絵ふで。
Q 三びきの子ぶたキャンプに出れなかったので、冬の子ぶたキャンプをやりたいです。それからいつか校長を「ギャフン」と言わせたいです。(小5・男子)
んあ?ちょ、ちょっと待て待て早まるな。いくら過酷な子ぶたキャンプといえども冬はいのちにかかわるかもしれん。
それにしてもあの子ぶたキャンプ、お父さんたちも「オレにやらせろ!」の勢いでずいぶん注目を集めてたようです。家族版・子ぶたキャンプとかでお父さんたちの活躍も見てみたいのう。お母さんたちも野外料理で責任重大!とかね。
それから、ワシをギャフンと言わせたい?…なるほどな。むふふふ実力はまだまだだの。ワシを倒してから行け!
Q カブトムシの色はどうやって作るのですか(小1・男子)
うむ!これまたいい質問だね。カブトムシってのは…カブトムシ色なのだ。キツネはきつね色。ゾウはぞう色。トラはとら色…って、あ?あれは柄だな。
でもさ、そら色の絵の具を塗っても、空の感じは出ないでしょ。時間帯や季節によって色がちがうし、白っぽかったり青っぽかったり、いろいろ変わるよね。ということは、カブトムシのあの赤いような、黒いような、茶色いような…なんともいえない色は、自分で工夫するしかないってことだ。きみが見たカブトムシはどんな色してた?絵の具の箱にどんなにたくさん色がならんでても、きっとぴったりの色はないだろ?だってカブトムシも角度によって見え方変わるもんな。あれこれいろんな色混ぜて、きみのカブトムシ色を研究してみてごらん。
Q こうちょうの、すきなあそびは、なんですか。(小2・女子)
ワシの好きなあそびは、犬ひも。吉田さんていうひとが考えた、犬にひもをつけて一緒に歩くあそび。
あとはね、動くものに乗ること。エンジンでもモーターでも動くものなら、なんでも好き。芝生をかる機械でも好き。ガソリンがなくなるまでいつまででも乗ってられます。あそびって、楽しくてやめられないよね。
Q 中学校の部活(美術部)とまほうの絵ふでとのちがいは?(小6・女子)
中学の部活ということはアートラボとの違いということだよね。
えふでのラボは研究室を表す「lavoratory」のラボなのです。「lavatory」は飛行機のトイレとかですからちがいます。
で、ラボは大学の基礎造形という授業をひとつの目標としています。基礎造形というのは美術大学などで、自分の専攻以外のことについて学ぶ…図工の超ハイレベル版なのです。ですから上手くなることも大切ですが、それより美術を通して、しくみや人のこころについて考えるのがねらいです。このあいだのラボなんか抽象表現主義の授業でロスコ実物大で模写すんだもの…あーた、ある意味美大よりも専門的ですよ。さて、美術部についてのアドバイスなのですが、これは学校によってずいぶん違うようです。ですからまずは美術室をのぞいてごらん。絵の具なんかがたくさんついていて歴史を感じるのはいいけれど、不潔だったり雑然としているのは論外。あまり近寄るでない。ヘタがうつります。場所というのは使う人の美意識があらわれるもの。そんなことも気にしてみるがよいですよ。
Q ごーごちゃんは何ですか?(小6・男子)
生き物です。
Q 絵とかは、どうしたらうまくかけるんですか。(小3・女子)
おおっ!ど真ん中の質問。絵とかっていうくくりかたがいいね。
昔から校長は絵や美術についてわからないときは、他のことに当てはめて考えてきました。たとえば野球ならどうだろう?上手くなる秘訣ってなにかな。運動では基礎体力がある方がいいけど、絵で体力に相当するものはなんだろう?練習試合って、美術の世界でいうとなんだろう?ってね。
そうするとうまくなるためにはどうしたらいいかってことを、誰も具体的に言ってくれてないんじゃないか…っていう気がしてきました。一部では「うまく描いちゃいけない」なんて言う人もいます。それってなんかへんだよね?
野球の世界ではただむやみに素振りをしてもダメで、それはただの筋トレなんだって。ピッチャーは誰で、これは3球目、きっと変化球を投げてくるぞ…そんなことをリアルに考えてバットを振ることを「素振り」っていうそうな。
校長からひとつアドバイスをするとすれば、たくさん描くこと。当たりまえだけど、ほんとにたくさん描いてる人ってそんなにいないんだ。あとは、必ず目的やねらいを持って描く。そしてそのとき考えたことを覚えておく。覚えられないのならノートに書く。かんたんだけど、みんななかなかしてないんだよ。
校長総括
いやー子どもからの手紙たくさん来ました!なかみを読んで、校長はじめスタッフ一同感激しまくりでした。なにより子どもの質問がまっすぐで良かった。紙面やウェブで答えられたのはその一部ですが、子どもの、美術に対する愛情・リスペクトが感じられました。さらに質問の内容も本質的なものが多く、大人でもモヤモヤしたままなかなか聞けないようなこともたくさんありました。代表してワシが答えましたが、スタッフ全員あらためて子どもの目線から学ぶ部分も多く、この企画が、多くの方に違う目線で美術をとらえていただくきっかけになったとしたらなおうれしいです。いつも考えるのですが、指導は「翻訳」です。対象が子どもだからこそ、本質的で、なおかつ知の欲求に応えられるよう、上から目線にならず、こちらも謙虚な姿勢でありたいと考えています。さて、親御さんからのうれしいメッセージも多くいただいて感激しました。お父さんお母さんからの質問につきましても、何らかのかたちでお返事をしたいと考えています。このお手紙の企画ぜひぜひまたやりましょう。これからの季節、道路状況なども何かとたいへんですが気をつけて。
よりたくさんの質問はこちらからどうぞ
→「子どもから来た手紙」