まずは拝見!今期の作品
『ワシのチャーリー』はパーツのつながりをしっかりと描けているのがよくわかります。バランスこそ多少くずれていますが、観察力とともに、理解力の高さも感じます。下描きなし、ペンで一発描きですので、ほどよい緊張感も。
アメリカ・ドル札作品は、平面モチーフをそのまま紙に描く制作ですので比較的易しい。ただし密度が高い!この雰囲気は描画密度の高さゆえ。お札ならではの袋文字や植物的な装飾をひたすら描き込むというプログラムでした。でもよく見ると、興味のある部分とない部分に差が見受けられるのがオモシロい。
パインの絵も細部の描写を徹底することで、全体の雰囲気を出しています。3次元の空間認知に対してはまだ客観性がなく、回り込みの描写や葉の重なりなどはやはりまだまだ子ども表現。しかし面倒になりがちなごちゃごちゃした部分まで、粘り強く見て描く力がついてきています。
浮世絵の模写は、日本画ならではの平面的な表現。比較的はっきりとした図版です。こう並べて見ると案外、形のちがいも目立つのですが、顔や手の表情には強いこだわりが感じられます。
さて、ジュニアは今年度4月から授業時間が長くなりました。実は自転車の絵、浮世絵の模写など、以前90分授業だった時期には2週分の時間をかけて同じプログラムを組んでいました。思い起こすと、その時期の作品は今よりもはるかに「子ども絵」で、技術的にもつたない作品が多かった…もしたったの30分の延長で、ここまで作品が変わるのだとしたら…いやいや、他にも理由があるはずです。この質の向上、伸びっぷりは、単なる時間延長だけでは説明がつきません。違う観点からもジュニアを分析してみましょう。
授業の流れと集中力の波は?

上のグラフは授業中の集中力の高さを表したものです。いずれの授業でも意図的に組んでいる流れですが、授業の半ばにある後半への導入・レクチャーをはさみ、子どもたちは大半の時間を高い集中力で取り組んでいる。通常、子どもの1時間の授業のうち、ほんとに集中して取り組むのは15分〜20分程度ですから、これはかなりすごい。
学年と男女の比率は?

学年分布はだいたいまんべんなく広がっているようですが、数字的に多いのは小四でした。指導内容は高学年に合わせることが多いので、上の子たちが下の子たちを引っ張っている図式が浮かび上がります。そして男女比では圧倒的に女子が多い。伸びる生徒を見ていると意外と男子向きのジャンルでは?と思うのですが、美術系の高校・大学でも圧倒的に女子が多いようです。
えふで暦は何年なのか?

2〜3年目の子どもたちの中でも、内訳を見ると3年目・4年目以上の子どもたちのほとんどはキッズコース出身。一方、始めて1〜2年目の子どもたちもよくがんばっている!難易度の高い授業も当然のものとして取り組んでいるのでしょうか。
なぜジュニアの力が伸びたか?
まず第一にイスの高さなどを見直し制作環境を良くしたことがあげられるでしょう。これによりキッズからの持ち上がり組が、体格的なものからくる制作のハンデから解放されているようです。実際3〜4年生が高学年の生徒に伍した良い取り組みをしており、課題の難易度の全体な底上げに貢献しています。制作面では制作経験を通して核のある思考の組み立てをねらいとして求めています。目に付きやすいかたちや空間認知の正確さはさほど強く求めてはいないのです。これはその子の成長とともに変化する自我や客観性の確立を待ち長いスパンで考える必要がありますので…そのため細部から雰囲気を高めていくこと、しくみや構造の理解力など、全体として粘り強く取り組むことを求めているのでございます。さてこれがジュニア急成長の謎の総括でございますが、いかがでしょうか。現在1番良いと思うのは集中力。一般的な図画工作の授業と比較してもこうはできないレベルです。えふでは常々こう言ってきました。「子どもの楽しさには2つある。ひとつはうっきゃーと楽しさ爆発。もうひとつは何も話さず、顔真っ赤。ご飯に呼んでも気付かない。」その意味で大変バランスのよいクラスです。このあとの課題は…率直に言って社会性でしょうか!その辺が理解力や客観性にもじわじわと影響する…というのは、大人はよくおわかりでしょう。さらに目的から手段を考える柔軟性が加われば、なお良し。アートで子どもの総合力が高まるように…やっぱり今後もビシバシいくぜ!