2016年4月30日(土)〜 5月8日(日)まで、『ウフルーモマタージュ美術館展』を開催しました。
「ウフルーモマタージュ」とは?ウフィッツィー美術館(フィレンツェ)、ルーブル美術館(パリ)、モマ〈MoMA〉(NY)、エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク)の名前をごちゃまぜにしたもの。世界にはいろんな美術館があって、そうした美術館で見られる作品もあれば、閉ざされた洞窟にあって今は見られない作品もあります。アルタミラの洞窟壁画やモナリザや富嶽三十六景やゲルニカなど、紀元前から現代まで約180点の作品を、まほうの絵ふでの4歳から17歳のこどもたちが模写。D&DEPARTMENT HOKKAIDO ギャラリーいっぱいに並べました。
古いものはなんと紀元前から。中世、ルネサンスになると現代に残る作品の数が少しずつ増えていきます。
さらにバロック、マニエリスムの名作たち。
近代以降は作品数が特に多い。
こどもたちの模写作品、近くでみるとなかなか見ごたえがあります。たとえばこれはルネサンスの名作、ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』。風の神さまがぴゅーっと息をふいて、誕生したてのヴィーナスを岸の方に送っている様子です。
各作品のキャプションには、画家の名前や制作年といっしょに、模写をしたこどもの名前や年齢も。元の絵の作者・ボッティチェリも、500年以上後になってなんと6歳のこどもに模写されるなんてびっくりなことですよね。
こちらはスペイン絵画が華やかだった17世紀を代表する画家・ベラスケスの『ラス・メニーナス』はまゆちゃん(16歳)が模写。うまい!
そのベラスケスの自画像は、りさちゃん(6歳)が担当。宮廷に仕えた画家らしい立派な風格あり。
こちらは19世紀フランスの画家・マネの代表作『オランピア』(1863年)。当時はまだアカデミックな絵画が主流だった時代、この作品は衝撃の一枚でした。模写したみあちゃん(9歳)も描いててちょっとドキドキしちゃったね。
近代絵画の巨匠・マティスの『ダンス』はさゆきちゃん(11歳)が模写。力強い構図と色のコントラストが強烈!
こどもたちが描いた模写作品にはそれぞれの解釈や感じ方が表れていて、見ている大人も思わず微笑んだり、吹き出したり、「なるほど!」と唸らされていました。年齢やうまい・へたを超えて通じる何かがあり、それも元々の名画が持つちからによるものなのかもしれません。
ワークショップ『ミニ・ウフルーモマタージュ美術館をつくる』レポート
小学校3年生から高校2年生まで、15名のこどもたちが参加。1/10サイズの美術館模型と、同じく1/10サイズの絵を使った、5時間にわたる長い特別授業です。
1. 美術と美術館の歴史
こどもたちが描いた模写作品の中で一番古いものは、1万年以上前に描かれたといわれるアルタミラの洞窟壁画。新しいものは2000年代の現代美術まで。いわゆる「名画」と呼ばれるものは、ルネサンスあたりから急激に増え、さらに1800年代以降は爆発的な数の絵画が誕生していました。
そして「美術館」についてのお話も。古い時代の絵は、教会やお寺で見るものでした。現代のように紙やキャンバスではなく、壁や天井に直接描かれていたからです。その後、王様や貴族が自分たちのために絵を描かせるようになり、豪華な宮殿に肖像画を飾るなど、「額」に入れて絵を飾るのが一般的になりました。さらに市民革命後の近代になると、例えば元は王宮だったルーブル宮殿をルーブル美術館として解放するなど、美術の市民化が進みます。王様たちの美術からみんなの美術へ。そしてアメリカのNY近代美術館(MoMA)のように、白い壁に作品を飾るような「絵のための建築」まで作られるようになります。
このように美術館のなりたちを知ってみると、絵の内容と時代背景もつながっていることがよくわかり、絵を見ることがさらにおもしろくなってきました。
2. オークション、競売で絵を買ってください。
1000万Uff$(ウフフドル)札を、ひとりにつき100枚あげます。つまりスタートの手持ちは10億Uff$!
名画を一枚ずつ紹介しながら、欲しい作品があったら「この絵にいくら払う?」欲しい人が何人かいたら、一番高い金額を払う人の手に渡ります。
「ウォーホルが3000万Uff$で落札!」「モナ・リザは2億Uff$からスタート」「名画『ラス・メニーナス』にはベラスケスの自画像がおまけでつきます」こどもたちはだんだん興奮して、それほんとに欲しいの?という作品にも思わず手をあげて高値をつけてしまう展開に。最後には「手持ちのお金が足りない・・・」という子も。
この日もっとも高値がついた作品は、俵屋宗達の『風神雷神』。なんと4億5000万Uff$で落札!全財産の半分近くを投資したわけですから、あっぱれです。
3.テーマを決めて展覧会を作ってみよう
教会タイプ、宮殿タイプ、ホワイトキューブ。いろいろなタイプの展示室に、それぞれが集めた作品で展覧会を企画しました。どんな企画展にしたいのか、自分でキーワードを決めて、作品や展示方法を調整していきました。
制作の途中で、それぞれにポーズをとってもらい写真を撮影し、模型の中に立ててみました。完成後に美術館模型の各部屋の様子をムービーで撮ってみると・・・・まるで夢の美術館の中を歩いているみたい!クリックしてぜひご覧ください。
【こどもたちの模型の中ツアーMOVIE】
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[協力]D&DEPARTMENT HOKKAIDO by 3KG、岡本零、Macchina Fotografica Entusiasta、山田悠太朗(ロゴ・ビジュアル制作)、長谷光(模型制作)