未来をつくる眼差し展


2010年1月12日から17日まで、大丸藤井セントラル7F・スカイホールにて開催した展覧会『未来をつくる眼差し』。希代のコレクター、そして様々なブームの仕掛人としても知られている柳本浩市さんとともに、次の世代をつくる子どもの教育を軸に様々な活動を展開しました。

10月〜12月にかけて、子どもたちとともに観察・調査のワークショップを行ってきた柳本浩市さん。参加した子どもたちからは「博士」と呼ばれ、何でも知ってる天才・柳本博士は驚くほど人気がありました。しかしご本人の子ども時代の話を聞くと、「とにかく変わった子どもでした。」幼少期から興味のおもむくまま、様々なものを集め続けた柳本少年。その収集歴や目線の確かさは、大人も顔負けの博物館級。雑誌の切り抜きをスクラップしたり、手に入る限りのものをていねいに集め続ける…そんな当たり前のことを延々積み重ねることで、柳本少年は希代のコレクターとして名をはせ、数々のデザインブームを巻き起こすクリエイターへと成長していきました。

『未来をつくる眼差し』では、そんな柳本博士の莫大なコレクションの現物をご紹介。

壁面には貴重なコレクションがずらり。切手の収集は海外のものや古いものが中心。リーバイス&リーに関する資料では、ジーンズのタグや100年前の領収書など、付属品・周辺のグッズが。

ガムの包み紙はなんと「幼稚園の頃から自分の食べたガムの包み紙をとっておきました」ですって。海外に出てもこまめに保管し、道ばたやゴミ箱で偶然発見した時にも綺麗であれば拾って持ち帰っているそう。

ガラスケースの中には、幼少期から続けているスクラップブックや、天才ぶりがにじみ出る手描きのノートも。

文具は世界中の骨董市や文房具屋さんで集めた新旧文房具のコレクションが。最も古いものでは、鉛筆が発明されてからまもなく販売された約240年前のものまで!思わず見入ってしまう。

「世界のミルクマップ」では、地図上に世界各国の牛乳パッケージを並べて展示。地域ごとの文化や生活の特性を比較して見ることができました。

一方、子どもたちが制作した展示物も来場者の注目を集めました。消費者がどのようにしてものを選んでいるのか、まずは買い手側の目線を知ることがデザイン教育のスタートにあるべきという柳本博士。ご自身も機会があるたびにいわゆる「オバちゃん観察」をしているとか。そんな博士の指導のもと、10月に子どもたちが実際に地元のお店に出かけ、あらゆる行動を調査した結果がこれ。超リアルな消費行動が明らかに!

お客さんの細かな動作を記録すること約700件…結果、商品がどのように選ばれているのか、人の心理状態や商品ごとの傾向を子どもたちなりに推測して表示しました。いわゆるマーケティング会社の仕事よりも細かく、リアルな消費者行動調査に思わず大人もうなる。

さらに圧巻だったのはこちら。
会場の中央に張り巡らされた、柳本博士の脳内マップ!

博士の頭の中で関連しているキーワードを糸でつなぎ、ギャラリー空間の中にリアルな情報網を作るというしかけ。来場者がくじを引き、出題された2つの関連するパネルを探すところからスタートです。初日はスカスカだった空間が…

最終日にはまるで宇宙!

「身につけると頭が良くなる」という摩訶不思議な噂の博士バッジ欲しさに子どもたち猛烈ながんばりをみせる。読めない漢字や聞いたこともないようなカタカナも何のその。次々に問題をクリアし、バッジをゲッツ。小学生で10個越えのツワモノもちらほら。

横で見ていた大人たちも思わず編み目の中へ。もはや立ち上がれないほどの編み目の中では、絡む絡む!体が小さな子どもたちの方がすいすいとすり抜けていたのが印象的でした。
会場に吊るされたパネルは全部で205枚。実はこれ、博士のワークショップで出題されて子どもたちが調べ、解説の文章とイラストを描いたもの。なかなか良い出来でこれまた大人のみなさんに大ウケ。初日と最終日には柳本博士が会場に登場しギャラリーツアーを実施。コレクションをはじめ、博士の幼少期や、子どもたちとのワークショップの話などなどでは衝撃的な数々のお話を聞かせてくれました。

最終日の夕方、会場にいた子どもたちとパチリ。

活動にご協力くださった皆様、ありがとうございました。